三菱電機のシャーベットアイス製造システム

盛信冷凍庫で稼働する三菱電機シャーベットアイス製造システム2基
水産物の永遠のテーマとなってきた鮮度保持を、三菱電機の技術、シャーベットアイス製造システムが一新した。海水、塩水のシャーベット状流体が魚を瞬間的に冷却、凍結しない氷点下の温度帯を保ち、漁獲後のシメや保存で細菌の繁殖を抑え死後硬直を持続。
シャーベットは柔らかで魚体の塩分濃度に近く、魚の傷みや浸透圧の変化よる肉質の劣化も防ぐ。鮮度保持の条件を兼ね備える。しかも、ホースからコックをひねるだけで供給でき、利便性、即応性も格段にアップ。
同社社会環境事業部によると、シャーベットアイスは海水、塩水から製造され、直径0・1ミリほどの微粒氷の混じった流体。マイナス1・5度からマイナス10度を超える領域まで任意に設定できる。
瞬間冷却のメカニズムはこうだ。海水に砕氷を入れた水氷は、水温が0度前後までしか下がらず、しかも氷の浮く上層より下層の温度が高くなるのに対し、シャーベットアイスはこれより低いマイナスの温度帯で上層から下層まで保つ。砕氷より微粒のため表面積が大きく、しかも魚を包み込むように密着。低温、微粒が魚体の熱を急激に奪って冷やす。魚体の芯(しん)温を0度まで冷却する速度は水氷の数倍。「魚の荒熱を早く取るのが鮮度の決め手」(同社)となる。
マイナス温度帯の持続には氷の潜熱が作用。1ミリリットルの水を1度上下させるには1カロリーのエネルギーが必要で、0度の水を氷に変えるには80カロリーが必要。氷には80カロリーが潜み、溶けるときに80カロリーの熱エネルギーを奪う。海水は氷結寸前のマイナス2度程度まで下げられるが、この冷海水では魚の冷却時に放たれる熱エネルギーの吸収(交換)が限られすぐに温度が上がる。シャーベットアイスは溶けながら潜熱でエネルギーを吸収し、マイナスの温度帯を持続。

冷却した高鮮度のサバ
シャーベットアイスは、細菌の繁殖しやすい温度帯の通過時間を瞬間冷却で早め、マイナスの温度帯持続で繁殖を抑える。漁獲された魚は、死後硬直→筋肉軟化→細菌増加→腐敗という過程で鮮度の低下することが知られているが、シャーベットアイスなら瞬間冷却による即殺効果で筋肉中のカルシウムの分解・溶出を遅らせ、死後硬直を長く持続。
シャーベットアイスは細菌の繁殖抑制、死後硬直の長時間化に加え、柔らさで魚の傷みを防ぎ、魚体に近い塩分濃度で浸透圧の変化にともなう肉質の劣化を抑える。高鮮度持続に不可欠な条件を備え、魚介類の獲れたての活きを歴然とアピール。
同社はシャーベットアイス製造システムの開発を昨年11月に完了。1月から北海道、東北で営業展開し、4月から全国に拡大。船倉でのシメや輸送、水揚げ現場となる漁協や市場での冷却、水産加工場での保存や出荷用の氷を生産する決め手として脚光をあびている。
製造システムはアイスユニットとアイスタンクで構成。標準仕様は、水温2度の供給水を24時間で10トン、15トン製造する2タイプがメーン。20トンなら10トンのシステム2基、30トンなら15トンのシステム2基をセット。0・5トン、3トンタイプも設定。既存の海水取水・ろ過・滅菌・冷却や人工塩水のプラントに組み込めるほか、取水~冷却のシステムも含め提案可能。
同社は「標準タイプの本体価格はトン当たり200万円が目安。1ユニットで15トンという大容量まで安定して製造でき、使い方やノウハウに合わせて細かくチューニング。操作性もよい。プラントとしての完成度も上げられる。冷凍機の技術があり、全国レベルでアフターサービス」と普及に自信をみせる。
三菱電機東京本社 社会環境事業部 電話03・3218・4759
北海道支社 社会システム部 電話011・212・3796
東北支社 社会システム部 電話022・216・4566
URL:http://www.mitsubishielectric.co.jp/service/sherbet/
(2005年11月07日付)




