星野鉄工所の新型L型コンベアー

一体型ベルトで水平部と傾斜部の境のすき間をなくし、割れ貝を解消した新型L字コンベヤー。ベルト上に張る海水も貝に優しいと評判だ
留萌管内のホタテ養殖漁家で新タイプのL型コンベアーが稚貝分散や越冬稚貝、半成貝、成貝のそれぞれの出荷作業で威力を発揮、注目度がアップしている。導入済みの漁家の間では「割れ貝がなくなった」「作業がスムーズ」「オールシーズン使える」と高く評価され、普及が加速している。
新型L型コンベアーは(株)星野鉄工所(北見市、星野一彦社長)が製作、企画・設計を星野一喜専務が担当、同管内のホタテ養殖漁家に何度も足を運び、細かな要望を取り入れ製作した。
まず、水平部のベルト上に海水を貯め、流れる構造にすることによって、カゴをほろって出てきた貝が、すぐ海水の中に戻れるとともに、ショックを大幅にやわらげ、水流も貝を優しく、スムーズに移動させる。「貝を弱らせないためには、水の上でほろうのが一番」という漁業者の声を生かした。
コンベアーは傾斜部へと続くが、従来型は水平部と傾斜部が別々で、両者の境に生じるすき間に挟まる小さな貝や、それと衝突する貝で割れる率が高かった。
新型L型コンベアーは水平部から傾斜部までベルトを一体化し、すき間をなくすことでこの問題を一気に解決した。
傾斜部を上ってきた貝は同社製金網コンベアー、選別機など工程を進むが、それらの中間には必ず水槽が設置され、貝へのショック、ストレスを最小限に抑えるよう工夫されている。出荷時に常に細心の注意を払っている同管内のホタテ養殖漁家にとって、新型L型コンベアーは「貝に優しく、最適の設備」と高く評価されている。
開発には、良質貝の生産、重労働の軽減、コストダウンを常に考えている北るもい漁協苫前支所のホタテ養殖漁家の意見が反映されている。横内正さん、淳さん親子は「1センチ未満の貝を扱う分散から稚貝、半成貝、成貝出荷のいずれも1年中使うことができる。1台の機械をオールシーズン使ってこそコストダウン。ベルトと本体のすき間もなく水が張りやすい。貝をスムーズに移動させるのが特長だ」と絶賛。
苫前地区の前部会長・瀬川唯幸さんは、一昨年、導入した。「割れ貝が出ないので検品に自信を持って出せ、製品として取り引きされる率が上がった。秋の本分散で3分の稚貝もこのコンベアーですべて運べる。カゴをほろう人数も4、5人から1、2人に減らすことができ、残りの人がカゴ詰め作業に当たれる。1回の作業時間が1時間は短縮できた」とメリットに大満足。
現部会長の佐々木雅洋さんは、昨秋の半成貝出荷から使った。「カゴから海水の中に直接ほろうことができ、貝にとても優しい。仮分散、本分散の小さな稚貝には特に最適だ。オールシーズン使える価値のある機械だ。これで扱った貝は、自信を持って出荷できるし、受け取る方も安心できるはず」と確信している。
先行漁家の高い評価を聞き、昨年度9台を導入したのが、同漁協羽幌地区6、焼尻島2、天売島1のホタテ養殖漁家でつくる中核的漁業者協業体(橋本研治代表=羽幌ホタテ養殖部会長)だ。
それまでも各種機器・資材を整備し、経営の効率化を図ってきた同協業体は、国と町の支援の最終年度に新型L型コンベアーの導入を選択した。
橋本部会長は「稚貝の健康状態には受け入れ先(地まき地帯)も神経を使っており、当然、われわれ出荷者も最後まで神経を使っている。ベルトの上に水をたっぷり張ることができるので、カゴからほろった貝にショックを与えず欠けたり弱ったりしない」と話し、支援事業を有効に活用できた様子だ。
(株)星野鉄工所は、各地域の作業形態に合わせた機械製作をモットーにしており、いずれのユーザーも同社に対し「浜の声を機械製作に反映してくれる」と信頼を寄せている。
新型L型コンベアーも北るもい漁協以外に宗谷、遠別、新星マリン、小樽などのホタテ養殖漁家から引き合い、注文があり、今後も普及が加速しそうだ。
(株)星野鉄工所 北見市柏木198―41
電話0157・36・9088、FAX0157・36・9089
(2006年04月17日付)




