松前のヤリイカ敷網漁

道内のヤリイカ敷網漁は、昭和30年台後半に青森県日本海側から導入され、渡島、桧山管内で普及した。松前さくら漁協松前地区では、2月からヤリイカ部会の14隻が操業する。同地区の実行組合長を務める柴田悦夫さんに漁具漁法を聞いた。
柴田さんは、イカ釣り船のゑびす丸(9・9トン)で操業し、乗組員は3人。例年、2月から敷網での操業に切り替え、沿岸へ産卵回遊するヤリイカを水深約15~20メートルの場所で漁獲する。
操業は、漁場に到着後、船首と船尾の両側をアンカー(10貫目=約37・5キロ)で固定。敷網は、船底のスクリューなどに絡まないよう潮下側から沈め、海底から1メートル程度浮かせた状態に広げる。岩に引っ掛けると網を傷める恐れもあるので、場所選びには慎重さが必要だ。

集魚灯を点燈し、近寄ってくる群れをソナーや魚探で探索。網の上を通過する瞬間を見計らって、一気に引き揚げる。四隅を水面まで浮上させ、ロープや竹ざおに取りつけたカギで網を引っ張り、船の片側(潮下)にヤリイカを寄せて(図参照)、すくい揚げる。
網地は目合い8節で、アミランなど沈みの早い材質を用いる。柴田さんの場合は、8反を使用して、長さ約20メートル、横幅約18メートルの長方形に仕立て、イセを縦横5~8割入れる。棚綱には7ミリのぐみロープを使用。四隅に鉛製の重りをつけ、重量は潮の速さによって、1個当たり10~30キロに調節する。
けたの材質はヒノキで長さ約9メートル。最近では、FRP素材も使われているが、3トンクラスでは竹を使用している船もある。両舷の集魚灯は2KW2個ずつ計8KWで、船によっては、イカ釣りで使う中央に直列配置したものをそのまま代用するケースもあるという。
集魚灯と敷網を組み合わせた漁は、コウナゴ電光敷網、サンマ棒受網などがあるが、同漁は船底に網を大きく広げるのが特徴。柴田さんは「ヤリイカも光に集まる習性はあるが、そのまま通り過ぎてしまうので網自体の面積をかせぐ必要がある」と説明する。
操業時には、広い角度を見渡せるソナーで群れの動きを確認。船の下方部に集まってきた魚影が魚探にも映り始めた段階で網を引き揚げるが、中央部に来るまで待ったのでは遅いという。「群れの大きさを予測して、タイミングを計ることが大切だ」と話す。
ヤリイカは、帰港後に3キロ入れの発泡下氷に詰めて出荷する。水揚げの多い日で、100~150箱。大型は魚槽で生かしたまま持ち帰り、函館方面への活出荷も行っている。
漁期は道知事許可で1月から5月までだが、実際の操業は2月から5月上旬まで。同部会では、輪番制による集団操業によって、資源の公平分配を図っている。
なお、解説に使用した模型の写真は、柴田さんが松前町文化祭で展示するために作製したもの。現在は、町内の渡島西部地区水産技術普及指導所内に展示してある。
(2005年11月21日付)




